ENOKIが支える金沢大学の未来ビジョンとDX推進

国立大学法人 金沢大学

インタビュイー
(写真右)蘆田 様
金沢大学情報部情報推進課事務情報システム係 係長
大学内15部局におけるAIチャットボット稼働に向けた推進
(写真左)石井 様
金沢大学情報部情報推進課事務情報システム係
大学内15部局に導入しているAIチャットボットの導入、運用支援

DX推進に必要だった「問い合わせ対応の自動化」

金沢大学は、2022年4月に就任した新学長のもと、金沢大学未来ビジョン『志』を公表しました。金沢大学が目指すビジョン『志』は,地域と世界の2つの視点を行き来しながら,未来の課題を探求し克服する知恵「未来知」により社会貢献を果たすことです。その中で「大学人材が有する力の萌芽と伸長」という目標があり、DX推進やAIの導入を掲げています。 大学という機関は、教育・研究、大学病院での臨床が根本ではあるのですが、それらの制度が複雑化したり、コロナのように社会情勢が変わったりしていく中で、今までなかった業務がどんどん増えてきています。
しかしながら、業務量が増えても職員を簡単に増やすことができないため、結局業務が立ち行かなくなり、ITやDXの導入で効率化を図ることが課題になっていました。
情報推進課事務情報システム係(以下、「当係」)では「業務の効率化」に焦点をあて、AIチャットボットの導入やRPAの導入を進めています。具体的には、コロナ禍に伴う在宅・分室対応など、従来とは異なる勤務場所での業務環境をつくるために、Web会議やMicrosoft Teamsのようなツールを導入しましたが、元々想定されていなかった事態でありシステム的な容量をオーバーしてしまい、それに伴ってソフト面での様々なトラブルが発生するようになりました。
そういった障害発生時のスタッフからの問い合わせをなるべく効率よく対応していきたい、そんな課題からAIチャットボットの導入を検討し、2021年12月に導入に至りました。

ENOKIの良さは「運用しやすさ、多言語対応、横展開のしやすさ」

元々、大学HPの問い合わせ用にAIが搭載されていないタイプのチャットボットを導入していたのですが、シナリオを作成していく必要がありメンテナンスの手間がかなり発生しておりました。特にシナリオベースですと、データを追加するときには全体のシナリオから改めて見直す必要があり、回答精度や自己解決率を高めて効率を上げていくことがどんどん困難になっていきました。
その後エノキ社を含めて3社ほどチャットボットを提供する企業とトライアルを実施した結果、エノキ社のAIチャットボットはオントロジー型のAIが搭載されているということでデータ作成の手間が軽減できると感じました。また、大学ですので留学生や外国人の職員もいらっしゃいます。多言語に対応したAIチャットボットというところも選択した一因になります。他にも、複数部局に展開する上でマニュアルが整備されていましたので、初めてAIチャットボットを導入する部局であってもマニュアルをそのまま渡すだけで導入を進められる点や、トライアル中もAIチャットボットの育て方といった部分をしっかり伴走いただけた点も評価させていただきました。部局ごとに導入していますが、ダッシュボードで効果や課題が同じ観点で評価できる、といったメリットもあります。

障害発生時の問い合わせ対応を30%自動化

AIチャットボットの利用という観点で、直近の2ヶ月で、2,500人が利用しています。学生や職員だけではなく、受験生や父兄その他一般の方々も利用できる環境にAIチャットボットを 配置することができております。
当係に絞りますと、大幅に問い合わせ業務が削減いたしました。これまでは障害の特性として、事務情報システム自体にアクセスできないトラブルが多発しておりましたので、その場合にはメールは使用できず、電話での問い合わせが多くピーク時は月に300件程度ありました。
その問い合わせに3~4名程で対応しており、サーバトラブルは時間帯が集中しますので対応に苦慮していましたが、AIチャットボット導入後は、当係に関してだけでいうと約1/3の問い合わせ数の削減ができていると感じています。当係への問い合わせはFAQよりも障害時の問い合わせが多くなり、障害が発生すると、即時対応が求められるので電話問い合わせが一定数残っていますが、操作や対応方法などFAQで対応ができるものは想定通り、ENOKIの導入により解消できました。

ENOKIの導入は、大学のDX気運を徐々に高める一手

先行している大学の状況を聞くと、大学全体として「DXを推進する」という意気込みが高く、DX化が進んでいるようです。しかし、金沢大学は今がまさにスタート地点。当係が先頭に立って大学全体として「やろうぜ!」っていう気運を徐々に作っていければと考えています。
AIチャットボットに関しては、現在当係で各部局のENOKIダッシュボードを見ながら、それぞれの部局に対してアドバイスを行っている状況ですが、今後は自部局の職員がENOKIダッシュボードを見て、認識率やフィードバックを参考にしながらPDCAサイクルを回し、FAQデータを改善していく流れを作っていきたいと考えています。
また、大学では毎年異動があるので、その部局のナレッジを持った方が異動してしまうとAIチャットボットの成長が滞ってしまうといった状況も考えられますが、ナレッジをAIチャットボットに投入して業務の引き継ぎをAIチャットボットで行えるという形ができれば面白いかもしれません(笑)

今後のロードマップ

AIが搭載されたチャットボットの部局展開がようやくスタートした段階です。これから展開先の部局でAIチャットボットの活用ナレッジを深め、金沢大学ならではの活用を見つけていきたいと考えています。
既に会話型システムの活用について新たな活用方法も模索しており、今後もエノキ社へ相談しアイデアをもらいながら、具体的な検討をしていきたいと考えています。